コンパウンドはどう使い分けるのか? プロが教える5段階番手基準とKIHCES KP-1100 Proで仕上げる6ステップ研磨法 | プロの技

コンパウンドの使い分けは、塗装の仕上がりと研磨効率を同時に左右するプロディテイラーの中核スキルです。コンパウンド選びを間違えると、必要以上にクリア層を削ってしまい塗装本来の寿命を縮めるため、傷の深さ、塗装状態、目的の仕上がりに応じて番手を選定することが欠かせません。本記事では、現場で実際に KIHCES KP-1100 Pro を使うプロディテイラーが、5段階のコンパウンド番手をどう使い分けるかを具体的に解説します。
要点まとめ:コンパウンドはカット力と仕上げの細かさの2軸で考え、傷の深さ診断から段階研磨、バフ切替、脱脂とコーティングまで6段階フローで使い分けるのがプロの基本です。
コンパウンドの番手とは?プロが切削力で選ぶ5段階の基準
コンパウンドの番手とは、研磨粒子の粗さ、すなわち切削力の強さを示す指標です。番手が小さいほど切削力が強く、番手が大きいほど仕上がりが細かくなります。プロ施工では塗装状態に合わせて5段階の番手を切り替え、傷の深さに見合った最小限の研磨で最大の光沢を引き出します。
プロが現場で使う5段階のコンパウンド番手と切削目安
- エクストラカット:深いスクラッチ傷、オーロラマークの除去専用。1回のパスで20〜30μm削るため最終仕上げには不向き。
- カット:研磨傷、雨ジミ、ハードスポット除去の主戦力。研磨時間の7割をここで使う。
- ミディアムカット:カット番手の研磨目を消し、ペーパーがけ痕を整える中研磨用。
- ファイナルカット:小傷、もやを除去し光沢を出す最終研磨。コーティング前の下地に最適。
- スーパーファイン:研磨目を完全に消し鏡面状態にする仕上げ専用。バフかけ前の最終パス。
現場でよく使うのは3段階構成で、1パネルあたり10〜15分の研磨時間で新車時の95%相当の光沢を再現できます。番手を飛ばすと深い研磨目が残ってオーロラが出るため、必ず隣接する番手へ段階的に移行するのがプロの基本動作です。
傷の深さ診断はどう行う?3分類で見極めるプロの判定基準
コンパウンド番手の選定は、傷の深さ診断から始まります。プロの現場では指先の触感、光の反射角度、水引きの3つで傷の深さを3分類し、それぞれに使う番手を変えます。
傷の深さ3分類と、それぞれに最適なコンパウンド番手
- 浅い傷:洗車傷、スパイラルウェザーマーク。水引きで判別でき、ファイナルカットで除去可能。
- 中程度の傷:爪が引っかからない程度の線傷。研磨布で判断し、中研磨で対応。
- 深い傷:爪が引っかかる、下地が見える傷。エクストラカットから段階的に番手を上げる。
指の爪を立てて傷に引っかかる感覚があれば深い傷、軽く滑るだけなら中程度の傷、ほとんど触感がないなら浅い傷と判断するのが現場で使われる簡易診断法です。ただし、深い傷を無理にスーパーファインだけで磨こうとすると時間を浪費するだけでなく熱ダマリで塗装を傷めるため、必ず2段階以上下の番手から着手します。
塗装状態別にどうコンパウンドを使い分けるのか?新車、経年車、再塗装車の違い
塗装状態によって使用すべき番手の最大値、研磨回数の上限、パッドの組み合わせが全く異なります。新車のようなクリア層が厚い塗装は強研磨に耐えますが、経年10年以上の車はクリア層が薄いため、番手を一段軽くする慎重さが求められます。
状態別のコンパウンド選択フローチャート
- 新車、展示車:スーパーファインのみで軽く磨き、コーティング下地を作る。研磨は1パネル5分以内。
- 3年以内の軽度使用車:ミディアムからファイナルカットで対応。洗車傷、オーロラ除去が主目的。
- 5〜10年落ちの経年車:カットからミディアムを主軸に、傷が深い箇所のみエクストラカットで部分研磨。
- 10年以上の高経年車、再塗装車:エクストラカットから開始し、必ず塗装厚計で残量を確認しながら進める。
KIHCES KP-1100 Pro の7段階変速は、こうした番手切替に直結する設計です。エクストラカット以下の粗研磨では速度1〜3で熱ダマリを抑え、ファイナル以上の中仕上げでは速度5〜7で光沢を最大化するというように、コンパウンド番手と回転数をワンセットで管理します。
コンパウンドとバフパッドはどう組み合わせるのか - カット力の相乗効果を最大化する方法
コンパウンド単体ではなくコンパウンド番手とバフパッドの色、素材の組み合わせで最終的な切削力が決まります。
プロはコンパウンドとパッドを別々に考えず切削力のセットとして同時に選定し、研磨工程全体で同じバフを使い続けることはほとんどありません。
色別バフパッドとコンパウンド番手の対応表
- ウールパディング: 切削力最高、粗研磨専用。
- オレンジ、イエローの中硬質フォーム: 汎用性が高く中研磨用。
- ホワイト、ライトグレーの微細フォーム: ファイナル用。
- ブラックの超微細フォーム: スーパーファイン以上の極細仕上げ専用。
例えばカットコンパウンドとオレンジバフ、ミディアムコンパウンドとイエローバフは切削力が似ており、現場ではパッドの色で工程を区切る管理が主流です。KIHCES KP-1100 Pro のダブルアクション機構は、こうしたバフ交換時の目変化を均一に整えるため、複数バフを使い分ける工程でも一定の研磨品質を維持できます。
コンパウンド使い分けでよくある失敗例と、その回避策
コンパウンドの誤選定は塗装を傷めるだけでなく、施工時間とコストを浪費する最大の要因です。プロ現場で実際に起きている3つの失敗パターンと、それぞれの回避策を紹介します。
失敗例1: 番手を強めに選びすぎてクリア層を削りすぎる
浅い傷に対して最初からエクストラカットを使うと、健康なクリア層まで削り取ってしまいます。対策としては、まず弱い番手から試し、傷が残る場合にのみ1段階下の番手に移行する、弱い方から試す原則を徹底することです。
失敗例2: 同じ番手だけで研磨し続けてオーロラが残る
カットだけで研磨を完了させると、研磨目が細かくなりすぎてかえって曇ったオーロラマークが残ります。対策は、カットで傷を消した直後に必ずミディアム以上の細研磨で研磨目を消す工程を入れることです。コンパウンド番手は最大切削力ではなく通過点として考えます。
失敗例3: コンパウンドの量が多すぎて塗装面に膜が残る
コンパウンドをパネルに多く出しすぎると、研磨熱で油分が焦げて逆に傷に見える膜を残します。対策は、パネル1枚に対してコンパウンドを小指头大、5〜7g程度にし、数パスごとにバフと塗装面の状態を確認することです。
コンパウンド使い分けを含むプロ施工の6ステップとは
ここまで解説してきた番手選定、パッド選択、失敗回避を統合した、現場で使う6ステップの施工フローです。KIHCES KP-1100 Pro を実際に使った施工を例に、各ステップで使うコンパウンド番手、回転数、パッドを具体的に示します。
- 洗車、鉄粉除去: 中性シャンプーで洗い、粘土バーで鉄粉、ピッチを除去。研磨前の下地を完全に整える。
- マスキング: ゴムモール、樹脂パーツ、灯火類を養生し、コンパウンドの粉や研磨熱から保護する。
- 1段階目 粗研磨: カットとウールパディングで深い傷、ハードスポットを除去。速度2、4〜6パスで部分研磨。
- 2段階目 中研磨: ミディアムとオレンジバフで1段階目の研磨目を消し、平面を出す。速度4、6〜8パス。
- 3段階目 細研磨: ファイナルとホワイトバフで光沢を最大化。速度6、4〜6パスで鏡面状態に。
- 脱脂、コーティング施工: コンパウンドの油分をIPAで脱脂し、セラミック、ガラス、グラフェンコーティングを施工する。
この6ステップを1パネルあたり25〜35分で施工するのがプロの実勢値です。KP-1100 Pro の1100W純銅モーターは連続使用時のトルク落ちが少なく、6ステップを通しても回転数が安定する点がプロ現場で選ばれる理由です。
まとめ: コンパウンド使い分けは塗装を守る最も重要な判断
コンパウンド使い分けの本質は、傷の深さに合った最小限の番手を選ぶことです。プロは傷診断、段階的研磨、バフ切替、脱脂のフローを一定の手順で進め、塗装の寿命を縮めずに光沢を最大化します。
KIHCES KP-1100 Pro の7段階変速とダブルアクション機構は、コンパウンド番手の切り替えに直結する回転数調整と研磨目均一化の両立を可能にします。コンパウンド選びに慣れてきたら、パッドの素材別特徴やコーティング剤との相性についても確認しておくと、施工品質の幅がさらに広がります。
よくある質問 (FAQ)
Q1. コンパウンドの番手はどう選べばいいでしょうか
傷の深さ診断を最初に行い、浅い傷はファイナル以上、中程度の傷はカットからミディアム、深い傷はエクストラカットから始めるのが基本です。迷った場合は弱い番手から試し、傷が残る場合にのみ段階的に強い番手へ移行する、弱い方から試す原則を徹底してください。
Q2. 一度の研磨で複数の番手を併用しても大丈夫ですか
はい、むしろプロ施工では番手の併用が基本です。カットで傷を消したらミディアムで研磨目を消し、最後にファイナルで仕上げるというように、隣接する2〜3段階の番手を連続して使用します。同じ番手だけで完結させるとオーロラが残るため、必ず複数番手を段階的に使い分けてください。
Q3. コンパウンドの量はパネル1枚あたりどのくらいが適切ですか
小指头大、5〜7gが適切な量の目安です。多すぎると研磨熱で油分が焦げて膜が残り、少なすぎると研磨効率が落ちて作業時間が増えます。数パスごとにバフと塗装面を確認し、足りなければ少量ずつ追加するのがプロのやり方です。
Q4. ダブルアクション方式のポリッシャーでも粗研磨はできますか
KIHCES KP-1100 Pro のようなダブルアクション方式でも、ウールパディングとカット番手の組み合わせで粗研磨は十分に可能です。ロータリー方式と比較すると切削力は控えめですが、熱ダマリと研磨傷のリスクが低いため、初めてプロ機材に触れる方や安全性重視の現場に適しています。
Q5. コンパウンド施工後にコーティングはいつ施工できますか
コンパウンド施工直後は油分が残っているため、IPAでの脱脂を必ず行ってからコーティングを施工します。脱脂が不十分だとコーティングの密着性が落ちて耐久期間が短くなるため、拭き取り後の水引きチェックで油膜残りを確認するのがプロの基本工程です。
関連記事、次のステップ
コンパウンドの使い分けを理解したら、次はバフパッドの素材別特徴を押さえることで研磨工程全体の精度が上がります。また、施工事例をチェックすることで、実際の現場でどう番手が選定されているかを具体的に学べます。KIHCESではコンパウンド、パッド、ポリッシャーを一貫して揃え、プロ施工の再現性を高めています。